2011年2月5日土曜日

1日の出逢いとわかれ。

金曜日の、1日だけのデータ入力のお仕事は、なかなかおもしろかった。
池袋東口、いっちばんにぎやかな通りの雑居ビルの中にある、小さなリサーチ会社だった。
お昼どき。平日なのに人が多い。集合5分前にビルの入り口に到着すると、すでに派遣会社の営業さんと、今回一緒に仕事をするスタッフの女性2人がいた。2人とも若そうだけど第一印象がほわっとしてて安心した。一人はワンピースで、一人はセーターに地味なパンツだった。あーみんなスーツじゃなくて良かったーと思った。服装は自由と言われてたけどやっぱりちゃんとしてくる人はしてくるから。あたしはシャツにカーディガンだし。気合入れなくてよかった。
営業さんに今日のタイムシートなどの書類をもらい、早速エレベーターに乗った。

会社のドアを開けると何やら人がたくさんいる。そのわりとしんとしている。なんだここ?というのが第一印象。会社っていうか・・・倉庫?みたいな雰囲気。
挨拶もそこそこに、コソコソと奥のパーテーションの向こうに通された。小さな机に小さなノートPCが3台セッティングしてある。とりあえずここで仕事すんのだ。
説明をする社員のおじさんもヒソヒソ声だ。
なぜ?なぜしーんと、コソコソとしているのか?
座ってしばらくすると感じとることができた。
このフロアに、お客さんがいるのだ。

今回の仕事は、リサーチ会社のリサーチ結果の入力。
どうやらリサーチ会社がやとっているスタッフさんたちが(多分彼女らも日雇い)、アンケートに協力してくれるお客さんをここに連れてきて、いくつかの質問に答えてもらう。
商品は某大手ドリンクメーカーの新商品で、軽めのアルコール飲料が数種類。
陳列棚から商品を見て、パッケージは好きかどうか、どれが一番目立ったか、看板のポスターのデザインはどうだった、などのアンケートを取ったあとに、試飲をしてもらってさらに感想を書いてもらうようになっているようだ。
小さなフロアに、隣が見えないよう仕切りのついたデスクを20個くらいセッティングして、そこにお客さんを座らせ、書いてもらっている。

質問内容が濃くて、良い・悪いとか買いたい・買いたくないなどの数字で答えてもらう質問の他、なぜそう思ったかできるだけ詳しく書いてくださいという、文章で答える箇所もかなり多い。ちょっと大変だと思う。
書いてもらったら、クオカード4000円だかの謝礼を渡しておわり。
なるほど4000円ならがんばって書くかもね。
そのアンケート用紙が、隔離された私たちのところに随時届けられて、コツコツ入力をしていく。

入力の仕方以外、内情の質問などできないので、あのお客さんたちはどこから連れてきてんのか、どうやって勧誘してるのかなど不明なまま終わったのだけど。どこかのスーパーとかリカーショップに来たお客さんとかなのかな。でもかなりぞくぞくと連れてきてたなー。

私たちスタッフ3人のうち2人はテンキーを使って数値を入力していく。もう一人は数値ではない文章の部分(OA)の入力。座った席によって置いてあった資料が違うので、たまたまあたしがOAの役目になった。
エクセルに表が作ってあって、質問番号に対して結果を入力していくようなフォーム。まぁとくに難しくもない。ただセルが異常に狭い。サイズは変えないで下さいという。まぁ吐き出して集計かなんかするんだろうから。メモ帳に書いて貼りつけることにした。
数値入力は飽きそうだけどOAは、さまざまなお客さんのおもしろい感想を読みながら書けるのであたしには向いてたと思う。「一口目は炭酸が強いかなと思ったが飲み進めていくと甘味が感じられ・・・」なんて、なかなか上手に感想をかく人もいれば、ちょっと読解不能な文章もあったり。この飲料のターゲットだったようで、100%女性の回答者でした。個人情報はなくお名前カタカナだけ。
とにかく文章が長いと、企業としてはありがたいことだろうがあたしとしては大変(笑)でもおもしろかった。

仕事的には・・IMEがバカで(2002だったかな)全く学習せず、アホな変換を繰り返すのでほんとイライラした!
あとは、3時間とかぶっつづけで、休憩がないのは少ししんどかったな。
お昼12時から出勤して、最初は少し説明があったとはいえ、気づいたら15時。それまで黙々と入力。トイレなんかは適当に行ったけど、休み休みやれる雰囲気でもなかった。だってパーテーションの向こうから、お客さんが書き終えたプリントがどんどん届くのだから・・・
ふつうデータ入力などのPC単純作業のお仕事というのは、1時間に1度、5~10分休憩を入れるというのが、どこでも鉄則になっているんだけどな・・・
契約書にそう書いある会社もあるくらいで。
しかしそこは違った。
15時に15分休んだ後に、また延々と・・・
まぁ一日だけだし、今日中に終わらないといけない仕事だから仕方ないか、と思ったけど。

17時くらいになるともう調査は終了したようで、さぁみなさんお疲れさまでした片付けましょーという声が聞こえ、机などをすべてバラし、まっさらなフロアに戻しはじめた。あたしたちのブースもパーテーションだけはがされた。そんなことも気にせず黙々と打つ打つ。こっちはまだまだ終わらんのだ。
18時。調査員のお姉さんたちは皆もう誰もいなくなっていた。
あたしと地味なパンツの子はわりと集中力があって、ときどき肩を回しながらも淡々とやっていたのだけど、ワンピースの子がさすがにため息をついたりキョロキョロし始めた・・・

社員の方がやってきて「お疲れさまです、この感じだとお約束の19時までには終わらないと思うので、少し残業は可能でしょうか」と言う。もとから21時まで残業の可能性はあると聞いていたので、私たち3人は「大丈夫です」と答えたのだけど、ワンピースの子が「あの、大丈夫ですけど少し休憩もらえませんか」と言った。そういうことで30分夕飯休憩をもらい、金曜の夜の池袋の街に出て、しばし頭を冷やした。近くのコンビニでおにぎりやお茶を買った。いい気分転換になった。休憩くれって言ってくれたその子に感謝した。
「わたしダメです~もぉ集中力なくて~お二人ともすごいですね」というその子は、おにぎりを食べながらわかったことなんだけど実は妊娠中で!しかもおどろいたことに臨月だと。
ふんわりしたワンピースを着てたのはそういうことだったんだ。臨月のわりにはそんなに大きくなくって、さっぱり気付かなかった。言われてみれば・・・って感じ。「引かれるといけないと思って黙ってたんだけど・・」って笑ってる。自分的には元気で退屈なんで、一日くらい仕事しちゃおって思ったそうだ。派遣会社も知らないって。確かに言っちゃったら仕事させてくれないかもねぇ。でもほんとに強い!健康で前向きですばらしいね。旦那さんは心配だろうけど。
でもそりゃ集中力もなくなるよ、っていうかだったらまじで無理しないで~もし入力終わらなくてもあたしたちでやるから帰っていいから~、なんて、私たち3人は昔からの友達のような妙な結束ができたみたいだった。(ちなみに地味なパンツの子は28歳で妊婦さんは34歳だった)
結局妊婦さんも30分の休憩ですっかりリフレッシュできたようで、3人で最後まで入力を続け21時に全てが完了!
タイムシートを書いてサインをもらい、お世話になりましたと言って雑居ビルをあとにした。

3人で駅までの帰り道、この9時間を振り返って「へんな会社だったねぇ、倉庫?」「タイムシートさぁ休憩45分ひくんだ!って思わなかった?ちょーセコい!」「変換がバカすぎる~」と、いくつもの文句を言い合いながら歩いた。そうなの、休憩15分+30分、しっかり引かれて・・ははは。
「ほーんとツッコミどころ満載な会社だったねー」とケラケラ笑いながら、それじゃまた逢ったらよろしくです~元気な子を産んでね~と手をふって別れた。

ということで楽しいことも疲れることもありの、初めての単発仕事でしたが、とてもいい経験となりました。
世の中にはまだまだ色んな仕事があり、色んな人がいるのであった。

0 件のコメント: